スケッチや写真(透視図法)特有の立体化

(1)自動車シートの場合

   ここでは、形状の対称性を利用した作り方を紹介しましょう。まずは事例をご覧下さい。

図1)シート稜線の合成立体化法

 自動車のシートデザインは図面化・モデル化の難しい事例のひとつでしょう。本事例はスケッチからモデリングする過程で最もキーとなる側面パッドの稜線(トリムライン/縫製線)を先ず立体化しています。方法はシート左側の稜線をトレースしてその2D線を視点方向から対称面に投影して3D化します。次に、視点を右側にミラーリングして先程の3D化した稜線との間にタブシル面(扇型に見える面)を作ります。その面に右側の稜線をトレースして投影すると左右の稜線で合成された正真正銘の右側稜線が出来ますので、それを再度左側へミラーリングすれば左右の稜線が出来上がると言う訳です。

図2)稜線の3D化手順

①スケッチの左右一方の稜線(ここでは左側)をトレースして断面線に投影します(赤線)

②その3D化された断面線と視点との間にタブシル面を張ります(円錐状の薄青面)

③そのタブシル面上で今度はスケッチ右側の稜線をトレースします(薄緑色)

④その薄緑の稜線はまだ2Dなのでタブシル面に投影して3D化します(濃緑色)

⑤その3D線をミラー転写して左右とも3D化し、4面図を表示させるとこのようになります

 

図3)シートの立体化プロセス

図4)シートの完成(前後3面図表記)

図5)完成モデルの動画

 自動車シートの稜線(縫製線)はそれが対称形であれば先程の作り方で出来ます。本事例はそうした作り方で線を作り、面を張って完成させたものです。赤い線がメインラ­インとして作成してあります。スケッチと一緒にパッケージ図なども入力しておけばハードチェックなどに便利でしょう。

 

(2)基礎篇における線の立体化の場合

 「基礎篇」の事例を使って上例の「シート」とも異なる方法で立体化してみましょう。取り敢えず、『ミラー視点によるスケッチ合成法』とでも呼んでおきます。

図6)ミラー視点によるスケッチ合成法

   左側の肩線を底面に投影して3D化します。その3D線と視点を結んでタブシル面を張ります。次に、その視点とタブシル面をミラー反転すると黄色のサーチライトのような線が立ち上がります。ミラー反転した底面投影線をミラー側(右側)へタブシル面上を移動させてスケッチの線と合わせると合成と同じように立体化することが出来ます。